大人の成功体験は「武勇伝」…
◎子供が学校生活での学習、行事、友達関係などで、うまくいかないことや不安なことがあるとき、大人に愚痴を言ったり相談したりすることがあるでしょう。そのとき、大人はどうするか? 子供に何とか乗り越えてほしい、頑張ってほしいという思いと、大人として何とかサポートしたい、応援したいという思いとで、どうしたらよいかアドバイスしたり、大人自身が昔、同じよ うな体験をして、自らがどのようにしてうまくやったか、或いは、努力したか、"成功体験談" を話して聞かせたりすることがあります。
◎ところが、大人の話を聞いて、ますます気持ちが落ち込んでいく子供がいます。せっかく大人 が良いアドバイスをしているのになぜでしょう? このとき、子供は解決策を求めているので はなく、まず、「自分の話に耳を傾けてくれる人」「自分の気持ちを分かってくれる人」、つまり、「共感してくれる人」を求めていることが多いのです。
◎「私のこと、わかってほしい...」。まずは、そこです。次のような共感する言葉をかけてあげることが大切です。 「それはつらかったね」「悲しい思いをしたね」 「私も同じような経験をしたよ」「私もできなかったよ」などです。ここで、もし子供が「そのときはどうしたの?」「どうしたらいいの?」などと、大人に尋ね てきたら、そこで大人自身の経験も交えて話してあげましょう。この際も、大人が熱が入りすぎ て、"武勇伝"になったりしないようにしましょう。武勇伝は、聞いているほうの気持ちを引か せてしまいます。「どうせ、自分にはできない...」と子供は思ってしまいます。
◎愚痴を言ったり相談したりするなど、自分の気持ちを言葉に表すことは、自分のもやもやした気持ちを自分で整理整頓することにつながります。つまり、実は自ら解決に向けて動き始めているのです(たぶん、本人は意識してないと思いますが...)。そこに「共感」という応援が加われば、とても心強く、前向きな気持ちになるためのエネルギーになりますね。